道路の区域は、道路の敷地の幅と長さによって示される平面的な区域で、道路管理者が定めます。 道路の区域には道路法が全面的に適用されます。 道路の区域を決定したり変更したときは、道路の種類、路線名、敷地の幅員及びその延長などを公示し、図面を縦覧します。
〔目次〕
道路の区域とは
道路の区域とは、道路敷地の幅と長さによって示される平面的な区域をいい、道路管理者が道路の区域を決定することで定まります(道路法 第18条)。
道路の区域は道路法が全面的に適用される範囲で、道路用地の取得前でも土地の形質の変更や工作物の新築や増築などに道路管理者の許可が必要になります(道路法 第91条1項)。
道路の区域の土地の権原が取得されると、道路予定区域となり次のような効果が生じます(道路法 第91条2項)。
- 私権の制限(道路法 第4条)
- 道路の占用(道路法 第3章第3節)
- 道路における禁止行為(道路法 第43条)
- 沿道区域における土地等の管理者の損害予防義務(道路法 第44条)
- 届出対象区域内における工作物の設置の届出等(道路法 第44条の2)
- 違法放置等物件に対する措置(道路法 第44条の3)
- 道路保全立体区域(道路法 第47条の21)
- 道路保全立体区域内の制限(道路法 第48条)
- 自動車駐車場等運営権者に対する道路管理者の承認等の特例(第48条の45)
- 道路管理者等の監督処分(道路法 第71条)
- 監督処分に伴う損失の補償等(道路法 第72条)
- 報告及び立入検査(道路法 第72条の2、第2項を除く)
- 負担金等の強制徴収(道路法 第73条)
- 法令違反等に関する指示等(道路法 第75条)
- 許可等の条件(道路法 第87条)
- 不用物件(道路法 第92条から第95条まで)
道路の区域とすべき範囲は、道路本体や道路付属物の敷地とされていて、道路本体から離れた道路の排水路や土砂流出防止壁、落石防止柵、雪崩防止柵などの敷地も道路の区域にすべきとされています。 道路の区域としなくても良い場合の例としては、庁舎内に道路情報管理施設が設置されている場合などがあげられています。
立体道路制度

虎ノ門ヒルズの下に入る環二通り
写真出典〕当サイト撮影(H30.12)
道路の区域が決定されると、道路法はその上下の空間に適用されるため、原則、道路区域の中に建築物を建てることはできません。
立体道路制度は、ビルの中を道路が抜けるような高度な土地利用を想定し、道路法が適用される空間を上下方向に限って、道路の上や下は建築物で利用ができる制度として創設されました 1) 。
立体道路制度では、道路の立体的区域を決定します(道路法 第3章第5節、旧第4節の2)。

八王子駅北口地下駐車場入口
(駐車場は市道の地下に設けられ、
その入口のひとつが市の建物の中に設けられている)
写真出典〕当サイト撮影(R5.3)
その後、対象となる道路が拡大され、次のようなケースに適用されたり、適用が想定されています 1) 2) 。
- 高速道路や自動車専用道路
- サービスエリア・パーキングエリア
- 歩行者専用道路
(事例:札幌駅前通地下歩行空間‥地上への出入口を民地内に整備) - 駅の自由通路
(事例:小田急相模原駅歩行者専用デッキ‥一部が鉄道用地の上)
(事例:西金沢駅自由通路) - 駐車場
(事例:八王子駅北口地下駐車場‥出入路を隣接するビルと一体的整備) - バスターミナル
(事例:バスタ新宿‥鉄道用地の上にバスターミナルを整備) - モノレール
- 高架下占用
- 歩廊占用
- 既存の道路を跨いだ大街区化
1) 立体道路制度について(国土交通省 道路空間の利活用・景観・緑化・環境)
2) 立体道路制度Q&A(日本みち研究所)
区域の決定や変更の手続
道路区域の決定の手続きは、路線が指定か認定、変更されたときに、遅滞なく行うことになっています(道路法 第18条)。 バイパスの整備や現道拡幅、線形改良などをするときは、道路区域の変更を行います。
道路区域を決定したり変更したときは、様式は定められていませんが、次の事項を公示するとともに、縮尺1/1000以上の図面を縦覧します(道路法施行規則 第2条)。
- 道路の種類
- 路線名
- 敷地の幅員及びその延長 等
- 区域を表示した図面を縦覧する場所及び期間を公示
道路区域の変更告示の例 (国土交通省)
○関東地方整備局告示第八十七号
次のように道路の区域を変更したので、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項の
規定に基づき、告示する。
その関係図面は、令和元年十一月二十一日から二週間一般の縦覧に供する。
令和元年十一月二十一日 関東地方整備局長 石原 康弘
(一)道路の種類 一般国道
(二)路 線 名 二十号
(三)道路の区域
区間 相模原市緑区千木良字富士見台一二八六番二地先から
同市緑区小原字長久保四一九番一まで
変更前後別 敷地の幅員 延長
メートル キロメートル
前 一八・八九〜二〇・三〇 ○・○五一
後 一八・八九〜二四・九五 ○・○五一
(別の箇所を省略)
(四)図面縦覧場所 関東地方整備局及び同局相武国道事務所
出典〕官報
道路区域の変更告示の例 (東京都)

案内図(黒色が区域変更箇所)
●東京都告示第三百号
道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項の規定により、都道の区域を次のように変更する。
その関係図面は、平成三十一年三月十一日から起算して二週間東京都建設局道路管理部において一般の縦覧に供する。
平成三十一年三月十一日
東京都知事 小池 百合子
一 路線名 赤坂杉並
二 変更の区間 世田谷区大原一丁目千百六十三番五地先から杉並区和泉二丁目三百七十二番一地先まで
三 変更の概要 別図表示のとおり
別図(略)
(別図の添付は東京都独自の取り組み)
- 参考 現地の概況