環二通りの建設

(環状第2号線港区虎ノ門〜江東区有明の建設)

 環二通りは、環状第2号線の港区虎ノ門から江東区有明までの整備として造られました。 都心部の地下トンネルや臨海部の橋梁など多くの構造物が必要な道路で、計画決定の前に整備されていたために改良が必要な交差施設も多いため、多くの構造物工事が行われました。

環二通りの建設の概要

 環二通りは、環状第2号線の港区虎ノ門から江東区有明までの区間の整備として造られました。 都心部と臨海副都心を結ぶとともに、発生交通量の多い地域を抜ける道路のため、多くの交通量を処理できる道路として造られています。

 整備にあたっては、それぞれの地域の状況にあわせて、市街地再開発事業や土地区画整理事業、街路事業などの整備手法が用いられ、それぞれの事業がペースをあわせて施行されました。 都心部の地下トンネルや臨海部の橋梁など多くの構造物が必要な道路で、計画決定の前に整備されていたために改良が必要な交差施設も多いため、難しい構造物工事が多く行われました。

港区虎ノ門〜港区新橋間の建設

再開発事業の図表

環状第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業

図表出典〕東京都都市整備局HP

https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/dainiseibi/tikubetu/kanjyounigou/pdf/ko01.pdf

 虎ノ門から新橋までの区間では、再開発事業で用地の確保と地上部の道路整備を行い、街路事業で地下トンネルが整備されました。

 再開発事業のI街区では平成23年(2011)3月に16階建ての新橋プラザビルが、II街区では平成19年(2007)3月に21階建てのグランイースト虎ノ門が建てられ、地権者に引き渡しが行われました。

 III街区では、平成26年(2014)5月に立体道路制度により建物の下部を環状第2号線が貫通する地上52階地下5階建ての超高層ビルが建てられました。 III街区全体が虎ノ門ヒルズ、高層棟が虎ノ門ヒルズ森タワー、低層棟が虎ノ門ヒルズガーデンハウスと名付けられ、平成26年(2014)6月に開業しました 1)

虎ノ門二丁目交差点の写真

虎ノ門ヒルズの下に入る環二通り

写真出典〕当サイト撮影(H30.12)

 平面道路と、虎ノ門ヒルズで地下に入り第一京浜の手前の新橋ランプで地上にでるトンネル道路は平成26年(2014)3月29日に開通しました。 地上部道路には新虎通りという愛称名がつけられ、エリアマネジメントが行われています 2)

港区汐留〜中央区勝どき間の建設

汐留地区土地区画整理事業

シオサイトの中を抜ける環状第2号線の図表

シオサイトの中を抜ける環状第2号線

図表出典〕汐留シオサイトHP

http://www.sio-site.or.jp/site_map.html

 環状第2号線の第一京浜(国道15号)から海岸通りまでの区間の用地確保と地上部の道路整備は、汐留地区土地区画整理事業で行われました。

 JR新橋駅に近い汐留地区のJR線の東側は昭和61年(1986)に廃止された国鉄汐留貨物駅の跡地で、JR線の西側は流通関連企業が多く立地する市街地でした。  この地域で、環状第2号線をはじめとする道路などの公共施設を整備し、土地利用の転換を図るため、平成7年(1995)3月に土地区画整理事業の事業計画が決定され、事業面積30.7haで区画整理が行われました 1)

 平成14年(2002)にはそれまで通過駅だった都営大江戸線やゆりかもめの汐留駅が開業し、電通本社ビルや東京ツインパークスが竣工して街開きが行われ、翌平成15年(2003)には日本テレビタワーが竣工するなど、街の整備が続けられました 2)

 「汐留シオサイト」と名付けられたこの地域では、自然石を使用した歩道や装飾性の高いデザインを採用した街路灯、各種イベントの開催が可能な幅40mの地下歩道、数十種類におよぶ高低木の植裁などのグレードアップが行われ、その維持管理費はBID(ビジネス・インプルーブメント・ディストリクト)という手法で地元負担がされています 3)

鉄道や首都高速道路との交差工事

シオサイト付近の縦断面図

シオサイト付近の環状第2号線の縦断面図

図表出典〕環状第2号線 事業概要

https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/ichiken/doro-seibi.html

 環状第2号線の地下トンネルは、虎ノ門から新橋の間では、日比谷通りの下を通る都営三田線と交差します。

 シオサイト付近では、第一京浜(国道15号)の下を通る都営浅草線と、シオサイト内ではJR東海道線や山手線と、海岸通り付近では高速八重洲線や都心環状線と交差します。

 これらの施設は環状第2号線の計画が決まる前に造られていたため、交差部では鉄道や首都高速道路の改良工事や近接工事が必要となり、鉄道事業者や首都高速道路へ委託して工事が行われました。

都営三田線や浅草線との交差工事

 環状第2号線の地下トンネルは、日比谷通りの下では都営三田線のトンネルの上に、第一京浜の下では都営浅草線のトンネルの上に造られました。 これらの工事では不足する環状第2号線トンネルの土被りを交差する幹線道路を嵩上げして確保するとともに、都営三田線との交差部では芝共同溝も改修されています 1) 2)

JR山手線等との交差工事
JR従前

従前のJR山手線等のレンガアーチ高架橋

JR事後

環状第2号線のトンネルが造られた改修後

図表出典〕鹿島建設HP

https://www.kajima.co.jp/news/digest/sep_2004/tokushu/toku03.htm

 汐留区画整理区域内で環状第2号線はJR山手線、京浜東北線、東海道線の下をくぐります。

 交差部では、JR山手線と京浜東北線が明治時代に造られた源助橋高架橋というレンガアーチ橋で、JR東海道線が鉄筋コンクリート造の高架橋でした。

 環状第2号線を通すために、既設の高架橋を工事桁で仮受けし、既設高架橋を撤去し、地下トンネルを構築し、最後にJR線の本設桁と橋台・橋脚を造る工事が行われました 1) 2) 3)

高速八重洲線や高速都心環状線との交差工事
MEX従前

環状第2号線と干渉する高速八重洲線の橋脚

MEX事後

新設された2本の橋脚と橋桁

図表出典〕首都高速道路株式会社HP

https://www.shutoko.co.jp/-/media/pdf/corporate/company/press/h25/11/22_betten.pdf

 海岸通りの汐先橋交差点で、環状第2号線は高速八重洲線の高架の下をくぐります。

 環状第2号線のトンネルに高速八重洲線の橋脚が干渉するため、高速八重洲線を平成24年(2012)7月から平成25年(2013)12月まで通行止めにして、橋脚と橋桁の改築が行われました 1) 2)

 新大橋通りの下で、環状第2号線のトンネルが高速都心環状線の汐留トンネルの上を通って交差するため、交差部の工事が行われています 5)

築地大橋〜黎明大橋

 環状第2号線は隅田川を築地大橋で渡ります。 築地大橋は橋長245.0m、幅員32.3〜48.0mの鋼3径間連続中路式アーチ橋です。

 勝どき地区では環状第2号線の本線は地上に降りずに、勝どき陸橋で清澄通りと立体交差をします。 勝どき陸橋は橋長525m、幅員15.7mの9径間連続鋼床版箱桁ラーメン橋です。

 朝潮運河を黎明(れいめい)大橋で渡ります。 黎明大橋は橋長94.5m、幅員11m+15.7m+11mのポストテンション式PC3径間バルブT桁橋です 1)

中央区晴海〜江東区有明の建設

 晴海、豊洲、有明北の各地区(写真の黄色で囲まれた地区)では、物流機能の転出などによって発生した低未利用地の土地利用を転換して、ウォーターフロントの特性を生かして業務・商業、居住機能をバランスよく配置した複合市街地の形成を図るため、大街区方式の土地区画整理事業が行われました。

 この3つの地区では、環状第2号線などの道路整備は土地区画整理事業で行われ、各地区を隔てる水域では街路事業で橋梁整備が行われました。

晴海地区土地区画整理事業

 晴海地区の環状第2号線整備は、晴海四・五丁目地区土地区画整理事業で行われました。

 晴海地区には、東京ビックサイトの開業に伴って閉鎖された東京見本市会場の跡地などがあり、既設防潮堤の外側で台風時の高潮による冠水が予想される地域もありました 1) 。 晴海四・五丁目地区土地区画整理事業は施行面積23.0haで、平成18年(2006)3月に事業計画が決定されて事業が始まり、平成28年(2016)1月に換地処分公告がされて事業が完了しました 2)

 環状第2号線の西側はオリンピックの選手村として使われ、マンションへの転換が図られています。

豊洲大橋

豊洲大橋の写真

豊洲大橋

写真出典〕当サイト撮影(R1.5)

 環状第2号線は、晴海地区と豊洲地区の間にある豊洲・晴海水域を豊洲大橋で渡ります。

 豊洲大橋は、橋長550m、幅員32.3mの5径間連続V脚鋼床版箱桁橋で、平成16年(2004)5月に事業認可を得て整備が進められました 1) 。 橋脚は無人化掘削工法を用いたニューマチックケーソン基礎で 4) 5) 6)、桁はフローティングクレーンで最大2089トンの大ブロックで架設されました 2) 3)

豊洲地区土地区画整理事業

 豊洲地区の環状第2号線の整備は豊洲地区土地区画整理事業で行われました。

 豊洲地区には、東京ガスのガス工場や東京電力の火力発電所の跡地などがあり、全域が既設防潮堤の外側で台風時の高潮による冠水が予想される地域でした 1) 。 豊洲地区土地区画整理事業は施行面積91.1haで平成9年(1997)11月に事業計画決定を受け事業がはじまりました 2)

 豊洲地区の環状第2号線の上には、ゆりかもめの新市場駅があります。 築地市場跡地の暫定迂回道路から新市場駅までの区間は平成30年(2018)11月4日に暫定開通し、新市場駅から湾岸道路までの区間は、平成18年(2006)3月25日にゆりかもめの有明駅から豊洲駅までの開業などと同時に開通しました。

 豊洲地区の環状第2号線の両側には豊洲市場が開業しています。

有明北橋

有明北橋の写真

有明北橋

写真出典〕当サイト撮影(R1.5)

 環状第2号線は、豊洲地区と有明北地区の間にある東雲運河を有明北橋で渡ります。

 有明北橋は橋長246.5m、幅員37.3mの2径間連続鋼床版箱桁橋で、中央にゆりかもめの桁が併設されています。 平成13年(2001)5月に事業認可を得て整備が進められました。

 橋脚はケーソン基礎で、桁はフローティングクレーンで大ブロック架設されました 1) 2)

有明北地区埋立整備事業

 ゆりかもめの有明テニスの森駅付近の土地は、有明北地区埋立整備事業で生み出されました。

 有明北地区埋立整備事業は、従前、有明貯木場として利用されていた35haの水面を埋め立てて宅地等を造成する事業で、平成12年(2000)8月に埋立免許を取得して事業が始まり、平成17年(2005)10月に施行を完了しています 1)

 現在、環状第2号線の両側ではオリンピックの仮設競技場の有明体操競技場や有明アーバンスポーツパークの整備が進んでいます。

有明北地区土地区画整理事業

 有明北地区の環状第2号線の整備は、有明北地区区画整理事業で行われました。

 有明北地区は物流関係の施設や工場などがあった地区で、有明北地区区画整理事業は施行面積85.2haで平成11年(1999)3月に事業認可を得て事業が始まりました 1)

湾岸改築事業

有明中央橋北交差点の写真

湾岸道路の上を越える有明中央橋

写真出典〕当サイト撮影(H30.11)

 環二通りや有明通りが湾岸道路と交差している箇所は、従前は高速湾岸線や湾岸道路によって南北に分断されていて、臨海副都心に直接アクセスすることはできませんでした。

 ここに立体交差を設けて湾岸道路を越えてアクセスできるようにする湾岸改築事業が、東京都から川崎国道事務所に委託されて平成11年(1999)11月から行われました。

 湾岸道路と立体交差をする有明中央橋は橋長120.9m、幅員38.8mの2径間連続鋼床版箱桁橋です 1)