道路の路線や、道路の一部を道路法の道路ではなくすときには、状況に応じて、路線の廃止や道路の区域の変更、供用の廃止が行われます。
路線の廃止や供用の廃止は、その道路を一般交通の用に供しなくする、いわゆる廃道の場合ほか、新道が建設されて旧道が国道から地方道になったりする、いわゆる管理移管の際にも行われます。
〔目次〕
路線の廃止や供用の廃止の手続き
道路の路線や、道路の一部を道路法の道路ではなくすときには、状況に応じて、路線の廃止や道路の区域の変更、供用の廃止が行われます。
路線の廃止
路線の廃止は、その路線やその路線の一部を道路法上の道路ではなくすことで、高速自動車国道や一般国道は政令の改正で(道路法 第5条)、地方道は路線の廃止の手続きで廃止されます(道路法 第10条)。
その手続きは路線の指定や認定の手続きに準じて行われ、路線が廃止されるとその路線に定められた道路区域や供用行為も自動的に消滅します。 路線の一部を変更したり廃止するときは、廃止される道路の区域が明確でないため、供用廃止の公示を行います 1) 。
道路の区域の変更による供用の廃止
道路の区域の変更により廃止される道路の部分についても、道路の区域の変更の手続きを行えば、供用行為は自動的に消滅します 1) (道路法 第18条)。
管理移管
写真出典〕国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
瑞穂バイパス(国道16号)
写真出典〕当サイト撮影(H31.4)
瑞穂バイパスの開通後に都道に移管された東京環状
写真出典〕当サイト撮影(H31.4)
管理移管は、例えば、新道が建設されたときに旧道が国道から地方道になったり、都道府県道が市町村道になる場合などに行われます。
このとき、上位の道路管理者は自らの道路を廃止します。 下位の道路があったところに、上位の道路が新たに設定されたときも管理移管が行われますが、道路法では種類が異なる道路が重複するときは上位の道路の規定が適用されるため、下位の道路を廃止する手続きは必要ありません(道路法 第11条)。
新道が供用された後にも旧道に一般交通が残る場合は、地元自治体にその自治体の道路として路線の認定をしてもらうか、少なくても道路となる見込みをつけてから、区域の変更の手続きをすることが望まれます(道路法 第93条)。
旧道の引継ぎの合意は新道の建設の事業化の前や新道の建設中に行い、事業と併行して引継ぎ先と協議をしながら次のような作業や準備を進めます。
- 管理上必要な図書の補充と引継ぎ
- 移管対象となる占用物件の許可の引継ぎ
- 管理協定などに係る関係機関と調整
- 案内標識の変更などの引継ぎに必要な工事
- 不法占用や敷地民有地などの問題の処理
- 引き継ぎの対象とならない不用物件の処理
上位の管理者が旧道の廃止を行ったときに、旧道が下位の道路管理者の道路の区域にもなっていていれば、旧道は下位の道路管理者の道路になります。
廃道
付け替えられた旧道(檜原街道、東京都あきる野市)
写真出典〕当サイト撮影(H30.8)
廃道事例:銀座三越
図表出典〕廃道事例について(国土交通省道路PPP研究会)
道路を一般交通の用に供しなくすると、いわゆる廃道となります。
- 例〕山地部で橋梁を付け替えたときに古い橋梁までの行き止まり道路を廃止する。
- 例〕中心市街地の再開発などで区画の間にある道路を廃道にして大区画化を図る。
供用が廃止されたり道路の区域が変更されて不用となった道路を構成していた敷地や支壁その他の物件は不用物件となります。 不用物件には1〜4ヶ月間の管理期間が定められています(道路法 第92条、道路法施行令 第37条)。
管理期間は、不用物件となった道路の敷地等を、従来の道路法に基づく法律関係から直ちに一般の民事上の関係に移すのではなく、他の種類の道路として使用される可能性や、一般通行上の便益を考慮して設けられています 1) 。 また、管理期間の間は私権の制限が続きます。
不用物件の管理期間満了後、当該廃道敷が国有財産であれば国へ 2) 、私有財産を借りている場合には所有者へ返還し、公共団体の所有するものであれば内部部局で引継ぎを行います。 不要となった橋などは撤去します。
また、他の道路管理者が他の道路に不用物件を使用するときや、不用物件のあった道路の管理の費用を負担した地方公共団体は、譲与を受けられる仕組みがあります(道路法 第93条、第94条)。
1) 道路法令研究会編著、改訂6版 道路法解説、大成出版社、2023、P.151、P.893
2) 道路法の規定に基づく国有財産の取扱いについて(昭和30年4月19日道路局長通達、国土交通省 告示・通達システム)