都道202号線(上成木川井線)の自動車通行不能区間は、青梅市上成木と奥多摩町大丹波を結ぶ、歩いて2時間程度の徒歩道で、途中には道路構造物らしい橋などがあります。
青梅市側はハイキングコースとして整備されています。 奥多摩町側は登山道ですが、車道終端付近の一部区間は草に埋もれた舗装道で林道名坂線からアクセスできます。
〔目次〕
青梅市側の自動車通行不能区間に架かる橋
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
上成木川井線の点線都道の概要
都道202号上成木川井線の自動車交通可能区間(赤線)と不能区間(赤点線)
図表出典〕国土地理院地図を当サイト加工
都道202号線(上成木川井線)の名坂峠をはさむ区間が自動車交通不能区間になっています。 青梅市側はハイキングコースとして整備されていて、奥多摩町側は登山道です。
青梅市側にも奥多摩町側にも徒歩道の橋がかかっています。 奥多摩町側は併行して林道が整備されたため都道は失われつつありますが、林道から徒歩道の橋を見たり、草に覆われた橋や舗装道を歩くことができます。
青梅市側の都道202号線の起点近くには上成木バス停が、奥多摩町側の車道終端近くには八桑バス停があり、その間を2時間程度で歩けます。 名坂峠では岩茸石山(いわたけいしやま)と棒ノ折山(ぼうのおれやま)を結ぶ登山道と交差します。
青梅市側車道終端〜名坂峠
青梅市側の車道終端は上成木バス停から1.5kmで、車道終端から岩茸石山(いわたけいしやま)の山頂近くの名坂峠までは1時間強で標高差320mの登りです。
青梅市側の車道終端から名坂峠までは、青梅市が升が滝(ますがたき)ハイキングコースとして整備していて、途中には道路構造物らしい橋や『畠山重忠の切石』などがあります。
青梅市側のアプローチ
青梅市側の車道終端
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
都道202号線(上成木川井線)の起点は成木街道(都道53号線)との交差点で、その付近に上成木バス停があり、1日5本の路線バスがJR青梅線東青梅駅等を結んでいます。
成木街道との交差点から1.5kmの林道常盤(ときわ)線の起点の左側に、短くコンクリート舗装された登坂が取り付いています。
この地点には公衆トイレがあり、『升が滝、岩茸石山』『升が滝方面』という指導標が建っています。 車道終端の正面に見える建物は、水道局成木浄水所で、この建物の脇から非舗装道になります。
青梅市側車道終端〜名坂峠の概況
青梅市側の自動車交通不能区間(赤点線)
図表出典〕青梅市観光協会パンフレット(リンク切れ)を当サイト加工
青梅市側の車道終点から名坂峠までの間は、青梅市が升が滝ハイキングコースとして整備していて、1時間強で峠まで登れます。
徒歩道の大半は、沢沿いに峠に上る道で、途中には桟橋や階段、ベンチなどが整備されていてます。 道中には青梅山林災害対策協議会が設置した防災ポイントの表示板があり『上成木川井線No.x』と書かれています。 名坂峠に上がる直前は、つづら折りで急に上る道になっています。
沢に平行する徒歩道
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
峠付近のつづら折り
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
升が滝ハイキングコースの整備
徒歩道とベンチ
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
升が滝ハイキングコースは、名坂峠まで東京都が自動車道として整備する計画がないなかで、眺望や自然環境に優れ観光客が多い高水三山や黒山、棒ノ折山への川沿いのアプローチを増やすとともに、自然環境に親しみやすくするために、平成14〜15年度(2002〜2003)に青梅市が整備しました 1) 。
1) 広報おうめ 平成16年2月15日号
青梅市側の橋
水道局成木取水所脇の橋
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
青梅市側車道終端から名坂峠の間には、3本の鋼桁橋がかかっています。 高欄が歩道橋で使われるのと同じタイプであるなど、道路構造物らしい古い橋です。
1つ目の鋼桁橋は、青梅市側車道終端からすぐの水道局の成木取水所の手前にかかっています。
2つ目の鋼桁橋は路面が急勾配の橋で、橋面上には木を並べて滑らないようにされています。
3つ目の鋼桁橋は少し先の升が滝と籠岩の間にあります。
2つ目の急勾配の橋
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
3つ目の橋
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
青梅市側の見所
升が滝
車道終端から15分程度歩いたところに、升が滝への分岐があります。 升が滝へは片道5分程度で往復でき落差20mの二段の滝が見られる筈なのですが、現地に行った時には滝を往復する道が途中で崩壊していて上段の滝しか見ることがでいませんでした。
升が滝へ向かう分岐(左)
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
升が滝の上段(升が滝へ向かう道の途中から)
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
畠山重忠の切石
畠山重忠の切石
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
チャートの大きな割れた石に畠山重忠の切石という名前がついています。
畠山重忠は鎌倉幕府の重臣で、秩父の所領から小沢峠や松ノ木峠を越えて鎌倉に向かっていました。
霧にまかれ名坂の山中に迷い込んだ時に、「妖怪の仕業か」と太刀で霧を切ったところ、悲鳴とともに霧が消え、足下に切石が落ちていたという伝説があります 1) 。
1) 升が滝ハイキングコース(青梅市観光協会、リンク切れ)
ワサビ田の石垣の跡
ワサビ田の石垣の跡
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
沢沿いに人工の石垣の跡が見られます。 これはワサビ田の石垣の跡です 1) 。
ワサビの産地として東京都は全国3位です。 ワサビ栽培には常に流れる清澄な水が欠かせないため、沢水を流下させるワサビ田が奥多摩地方を中心に作られています 2) 。
名坂峠
名坂峠で、岩茸石山(いわたけいしやま)と黒山(くろやま)や棒ノ折山(ぼうのおれやま)を結ぶ関東ふれあいの道として整備された登山道と交差します。
青梅市側から見た名坂峠
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
名坂峠から見た青梅市側
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
関東ふれあいの道になっている登山道は登山客が多く、名坂峠から岩茸石山までは急な登りがあるものの、標高差80mで登り10分、下り5分程度です。 岩茸石山は埼玉県側の山々の眺望が優れていて、惣岳山(そうがくさん)を経てJR青梅線御嶽駅まで2時間程度で降りられます。
名坂峠の指導標は、都道の青梅市側は『升が滝、上成木バス停』、奥多摩町側は『大丹波1.9km・川井駅4.0km』となっています。
奥多摩側へ下りる都道(左)と
黒山、棒ノ折山へ登る登山道(右)
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
岩茸石山へ登る登山道
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
高水三山ハイキングコース
高水山、岩茸石山、惣岳山が高水三山として初心者向けの登山コースになっています。
この登山コースが名坂峠で都道202号線と交差します。
名坂峠〜奥多摩側車道終端
奥多摩町側の自動車交通不能区間(赤点線)
図表出典〕国土地理院地図を当サイト加工
この区間は登山の準備をして自己責任で通るルートです。
名坂峠から奥多摩町側の車道終端までは、標高差390mを下る登り50分、下り40分の登山道です。
名坂峠側は登山道で、峠付近には、急傾斜のところや、土と小石が混じりの路面で滑りやすいところがあるので注意が必要です。
車道終端側は、併行して林道名坂線が整備されたため、道が失われつつありますが、林道から都道の橋などが見られます。 車道終端付近では、草に埋もれた橋や舗装道を歩けます。
名坂峠〜林道名坂線
名坂峠付近のつづら折り
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
名坂峠から奥多摩側に下るルートの名坂峠付近は急な斜面をつづら折りで降りていきます。
その後、尾根筋の道、尾根から沢へ降りる道、沢筋の道と変わっていきます。
尾根筋の道
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
尾根から沢へ降りる道
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
林道名坂線併行区間
名坂峠側からみた林道名坂線
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
名坂峠から降りる道が沢筋を通るようになってすぐ、名坂峠と奥多摩町側車道終端の中間あたりとなる標高470m付近で、林道名坂線と交差します。
林道名坂線は、都道202号線の奥多摩町側の車道終端付近から、都道202号線と同様に名坂峠方面に向かう延長1,250mの林道で、平成24〜29年度(2012〜2017)に奥多摩町が開設しました 1) 。
ここから、奥多摩町車道終端まで、都道202号線と林道名坂線は4回交差します。 林道名坂線と併行する都道202号線の標高470mから350mまでの間は、人が歩いた痕跡が少なく荒れています。
標高350mの交点から標高320mの林道名坂線の起点までの間の都道202号線は、草に覆われた舗装路面の道を歩けます。
標高470mの交点
標高470mの交点から名坂峠側
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
林道名坂線が沢を渡る地点に都道202号線が取付いています。
名坂峠側は、『大丹波・川井駅方面』『名坂峠・岩茸石山』との表示があります。
川井駅側は、林道名坂線の反対側にガードレールが高欄の小さな橋があり、沢の反対側を都道202号線が降りていきます。
標高470mの交点から川井駅側に見える徒歩道の橋
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
標高470mの交点から標高380mの交点間の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
標高380mの交点
標高380mの交点から見える名坂峠側の橋
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
名坂峠側は、林道名坂線が沢に近づいた地点から、都道202号線の沢を渡るガードレールが高欄の小さな橋が見えます。
川井駅側は、道下の擁壁の先に都道202号線が取付いています。
都道202号線は林道名坂線の沢の対岸を併行します。
標高380mの交点から川井駅側
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
標高380mの交点から標高350mの交点間の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
標高350mの交点
標高350mの交点から名坂峠側
(ガードレールの左側が都道202号線)
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
林道名坂線の脇に、沢を管渠に取り込んだ広場があります。 名坂峠側への道は、その広場の端に取付いています。
川井駅側への道は、名坂峠側への道の交点の少し下に取付いています。
標高350mから下は、舗装が草で覆われた道で、更に一度、林道名坂線と交差します。
標高350mの交点から川井駅側
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
標高350mの交点から標高320mの交点間の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
草に覆われた橋
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
舗装路面が見える箇所
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
標高320mの交点
標高320mの交点で、左が林道名坂線、右が都道202号線
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
川井駅側から都道202号線を道なりに行くと、道の脇に林道名坂線の木標が建っている地点から、林道名坂線に入ります。
コンクリート構造物の右側の舗装が草に覆われた道が都道202号線になります。
奥多摩町側のアプローチ
八桑バス停手前の町道大丹波秩父線(左)と
都道202号線(右)との分岐
写真出典〕当サイト撮影(H30.10)
JR青梅線川井駅付近から大丹波(おおたば)方面に向かう都道202号線(上成木川井線)は、八桑(やくわ)バス停手前で、町道と分岐します。 道なりに進むと奥多摩町道大丹波秩父線で路線バスは町道に進みます。 都道202号線は、右側のコンクリート舗装の急勾配の道で、0.1kmで林道名坂線起点の起点に至り、自動車交通不能区間となります。
八桑バス停は、JR青梅線川井駅等と結ぶ路線バスが平日10本、土日7本運行されていて、川井駅まで歩くと2.2kmです。