都道206号線(川野上川乗線)の通称道路名がない区間は、奥多摩周遊道路に併行する徒歩道です。
奥多摩湖のドラム缶橋から山のふるさと村の間と、山のふるさと村や檜原都民の森の中は、公園の遊歩道として整備されています。
〔目次〕
青梅街道と都道206号線を結ぶ麦山浮橋
写真出典〕当サイト撮影(H28.11)
都道206号川野上川乗線(点線都道区間等)の概況
東京都通称道路名 | なし (檜原街道、奥多摩周遊道路は別項に記載) |
道路法の路線名 | 都道206号川野上川乗線 |
都市計画道路名 | 都計道外 |
都道206号線(川野上川乗線)は、奥多摩町と檜原村を結ぶ都道で、その一部には檜原街道や奥多摩周遊道路という東京都の通称道路名が付されています。
通称道路名がついていない区間は、奥多摩周遊道路に併行する徒歩道です。
通称道路名がついていない都道206号線は、山梨県境から奥多摩湖のドラム缶橋の前を経て、山のふるさと村、風張峠、檜原都民の森、三頭沢を経て、奥多摩周遊道路の檜原村側の旧料金所跡に至ります。
奥多摩町の奥多摩湖バス停からドラム缶橋を経て、檜原村の都民の森バス停か数馬バス停までを歩くことができます。
山梨県境から奥多摩湖のドラム缶橋までの間は、道路が滅失しています。 ドラム缶橋から山のふるさと村の間と、山のふるさと村や檜原都民の森の中は、公園の遊歩道として整備されています。 山のふるさと村から風張峠を経て檜原都民の森までの間と、三頭沢に沿う区間は登山道です。
主な交差道路 | 交差点名等 | |
---|---|---|
起 点 |
山梨県境 | |
滅失 | ||
麦山浮橋付近 | ||
湖畔の小道(40分) | ||
やまのふるさと村内 | 園路 | |
奥多摩周遊道路 | 6.45KP付近 | |
登り1時間50分、下り1時間20分 | ||
風張峠 (かざはりとうげ) |
||
(登り50分、下り45分) | ||
檜原都民の森内 | 園路 | |
奥多摩周遊道路 | 檜原都民の森駐車場付近 | |
徒歩道 | ||
終 点 |
奥多摩周遊道路 檜原街道 |
檜原村側料金所跡 |
都道206号川野上川乗線(点線都道区間等)の概要
地図出典〕檜原村観光協会HPを当サイトで加工
https://hinohara-kankou.jp/wp/wp-content/uploads/2019/05/19eacaa2d277a536a700101c7b46b560.pdf
山梨県境〜麦山浮橋
山梨県境〜麦山浮橋間の都道の推定位置
図表出典〕国土地理院地図を当サイト加工
山梨県境から小菅川(こすげがわ)の東岸を通り、奥多摩周遊道路と併行して麦山浮橋に至る都道206号線は、既に滅失しているものと思われます。
この区間は、昭和32年(1957)11月に完成した小河内ダムの建設に伴って、当時の都道339号小河内五日市線の付け替え道路として造られました。
山梨県内で小菅川を渡る金風呂(かなぶろ)橋は、平成2年(1990)に架け替えられており、金風呂橋の先には道上、道下ともに石積みが設けられた徒歩道があります。 しかし、その先や、奥多摩周遊道路と交差している地点などには、貯水池を管理している東京都水道局が「関係者以外立入禁止 この先、道が崩壊して危険」との表示をしています。 登山者のレポートでも崩落している等の報告があり、東京都レンジャーは平成25年(2013)に道がわかりづらい、踏み跡がないなどの理由から指導標の「金風呂」方面を示す矢羽根を撤去しています 1) 。
金風呂橋(平成2年架け替え)
写真出典〕当サイト撮影(H28.11)
金風呂橋付近の道路の石積み
写真出典〕当サイト撮影(H28.11)
1) 東京都レンジャー 平成25年度委託事項報告書(檜原地区)(リンク切れ)
麦山浮橋〜湖畔の小道
麦山浮橋と湖畔の小道
図表出典〕山のふるさと村の現地看板を当サイトで加工
青梅街道(国道411号、都計道外)から、一般にドラム缶橋と呼ばれている麦山浮橋で奥多摩湖を渡り、湖畔の小道などを歩いて山のふるさと村やダムサイトに行くことができます。 山のふるさと村へは歩いて40分、バス停のあるダムサイトへは4時間のハイキングコースになります。
麦山浮橋へのアクセス
麦山浮橋は、青梅街道の小河内神社バス停の直近にあります。 JR青梅線奥多摩駅から小河内神社バス停まで1時間に1〜2本の路線バスが運行されています 1) 。 麦山浮橋の前の脇道に数台が駐車できるほか、青梅街道の峰谷(みねだに)橋の北側には10台程度の駐車場が設けられています 2) 。
麦山浮橋(ドラム缶橋)
麦山浮橋
写真出典〕当サイト撮影(H28.11)
奥多摩湖を渡る麦山浮橋(ドラム缶橋)は、都道206号線ではなく、貯水池を管理する東京都水道局が対岸へのアクセスを確保するために設けた施設です。
昭和の時代は下の写真のような4つのドラム缶を木床板で繋げた浮きが連結された浮橋で、ドラム缶が錆びたら塗装したり、腐食して穴があいたら取り替えるというメンテナンスが行われていました。 平成になってから、ポリエチレンや発泡スチロール製の浮子をアルミの床版で繋げた浮きを連結する浮橋になっています。
貯水池が満水に近いときは橋長が220m程度ですが、貯水池の水位が下がると橋の長さも短くなるため、浮きの一部を外して橋長を短くして、取付部の階段の下の方に付け替える仕組みになっています。
麦山浮橋の取付部
写真出典〕当サイト撮影(H28.11)
ドラム缶が使われていた頃の浮橋(ダムサイト)
写真出典〕当サイト撮影(H30.8)
湖畔の小道
麦山浮橋から山のふるさと村までの間の2.1kmは、小河内ダム建設の際の付け替た都道206号線を、自然公園を管理する東京都多摩環境事務所が平成22年度(2010)に遊歩道の『湖畔の小道』として整備をしています 3) 4) 。
『湖畔の小道』は、バス等の公共機関のない山のふるさと村へ40分程度で歩けるアクセス路です。 また、山のふるさと村からダムサイトまでの12kmは『奥多摩湖いこいの路』として整備されているため、麦山浮橋からダムサイトまでの15kmを4時間で歩ける整備された散策路になっています。
湖畔の小道の概況
写真出典〕当サイト撮影(H28.11)
湖畔の小道の概況
写真出典〕当サイト撮影(H28.11)
1) ハイキング時刻表(西東京バス株式会社)
2) 麦山の浮橋(ドラム缶橋)周辺駐車場のご案内(山のふるさと村)
3) 自然公園小委員会第20回議事録(中央環境審議会自然環境部会 自然公園小委員会)
4) 自然公園小委員会第20回資料(中央環境審議会自然環境部会 自然公園小委員会)
山のふるさと村
山のふるさと村は、平成2年(1990)に供用開始された、キャンプ場やクラフトセンター、レストラン、ビジターセンターなどが整備された自然公園施設で、車で行く場合は奥多摩周遊道路から入ります。
奥多摩湖畔の『湖畔の小道』と、尾根筋の『ネーチャートレイルIII』は、概ね都道206号線と同じルートを通っています。 その間は都道と一致する道筋は見つけられませんでしたが、山のふるさと村の園路で繋がっています。
都道206号線とルートが一致するネーチャートレイルIIIは尾根沿いに奥多摩周遊道路に至るコースで、ビジターセンターから奥多摩周遊道路の交点まで、標高差240m程度を登ります。
山のふるさと村中心部からネイチャートレイルに上る園路
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
ネーチャートレイルIIIの起点
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
ネーチャートレイルIIIの概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
奥多摩周遊道路沿道の
ネーチャートレイルIIIの終点
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
山のふるさと村〜風張峠〜檜原都民の森
都道206号川野上川乗線
(山のふるさと村〜檜原都民の森)概要
地図出典〕檜原村観光協会HPを当サイトで加工
https://hinohara-kankou.jp/wp/wp-content/uploads/2019/05/19eacaa2d277a536a700101c7b46b560.pdf
この区間は登山の準備をして自己責任で通るルートです。
山のふるさと村のネーチャートレイルと奥多摩周遊道路の交点から、風張峠を越えて、檜原都民の森の砥山(といしやま)に至る徒歩道は、2時間程度の登山道です。
このルートは、指導標などは整備されていますが、樹木の間を抜ける道のため眺めはあまり良くありません。 ハイキングマップなどでは風張峠を経由する都道206号線のルートではなく、山のふるさと村からサイグチ沢に沿って檜原都民の森の鞘口峠を真っ直ぐに結ぶ登山道が勧められています。
奥多摩周遊道路から風張峠に登る登山路の入口
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
ネーチャートレイルと奥多摩周遊道路の交点から風張峠までは2kmで標高差380mを登る登山道です。 風張峠の手前で、『御前山(ごぜんやま)、月夜見山(つきよみさん)』からくる奥多摩主脈縦走路が合流します。
徒歩路の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
風張峠手前の月夜見山への登山道の分岐点
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
風張峠は奥多摩周遊道路の風張駐車場に近く、『藤原峠、数馬(かずま)、五日市(いつかいち)』の指導標は奥多摩周遊道路に降りる道になっています。 風張峠の先では『浅間尾根(せんげんおね)、数馬』に向かう登山道と接続しています。
風張峠
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
風張峠の先の浅間尾根への登山路の分岐点
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
風張峠から砥山(とやま)付近までは標高差130mを登り、砥山から鞘口峠までは標高差130mを下る、50分程度の登山道です。 砥山の山頂をまく道が砥山山頂に登る道と合流するあたりで、檜原都民の森に入ります。
砥山付近の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
砥山山頂への登山路の分岐点
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
檜原都民の森
里山の道
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
檜原都民の森は、平成2年(1990)5月に供用開始された、標高1000mから1500mの高地に広がる山岳森林公園で、園内にはテーマを持った散策コースが複数設けられ、三頭大滝(みとうおおたき)や三頭山(みとうさん)などにも行ける他、木材工芸センターや森林館、レストランなどもある公園施設です。
砥山(とやま)付近から都道206号線は、檜原都民の森の園路の『里山の道』の鞘口峠(さやぐちとうげ)に向かう道と重複します。
鞘口峠で2本の登山道が交差しています。 風張峠からきた奥多摩主脈縦走路は三頭山に向かいます。 奥多摩湖から風張峠を経ずに直接きた登山道は、都民の森バス停に向かいます。 都道206号線は、『都民の森バス停・駐車場・森林館』の方向です。
鞘口峠から都民の森駐車場は標高差150mを下る散策路で20〜30分程度の道です。
鞘口峠
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
鞘口峠から森林館に下る道
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
森林館の下のトンネル
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
途中の森林館から檜原都民の森の入口までは、管理用車両が通る車道になっています。 途中からは沢の反対側にも園路が設けられています。
檜原都民の森入口
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
管理用車道に併行する園路
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
都民の森バス停
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
奥多摩周遊道路に面する都民の森の駐車場に都民の森バス停があります。 4月から11月までは1日6本の連絡バスが、路線バスの数馬バス停を経てJR五日市線の武蔵五日市駅と75分前後で連絡しています。
三頭沢沿い
都道206号川野上川乗線(三頭沢沿い)概要
地図出典〕檜原村観光協会HPを当サイトで加工
https://hinohara-kankou.jp/wp/wp-content/uploads/2019/05/19eacaa2d277a536a700101c7b46b560.pdf
都民の森の駐車場から、奥多摩周遊道路の料金所跡までの間は、1kmで標高差200mを下る三頭沢に沿った徒歩道です。 途中に、奥多摩周遊道路の数馬橋を結ぶ分岐道があります。
奥多摩周遊道路のつづら折りの中
各種の資料によると、都民の森の駐車場前の奥多摩周遊道路のつづら折りの中に都道206号線が通っていたようですが、現地で都道のルートに沿う道は見つけられませんでした。
奥多摩周遊道路の駐車場前のつづら折りは、都民の森の整備の際に斜面の下側に寄せられ、平成3年(1991)8月の台風12号では大規模に決壊し、都民の森のシンボルゲートや駐車場管理棟までが流失するなどの被害を受けて復旧されています。 数馬のバス停から都民の森に歩いて上がってくる人も奥多摩周遊道路を通っているので、つづら折りの中の道はすでに滅失しているものと思われます。
都民の森駐車場から終点方向
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
徒歩道交点から都民の森駐車場方向(16.6KP付近)
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
1) 1991.08.29 : 平成3年衛生労働経済委員会 本文(東京都議会会議録検索)
奥多摩周遊道路〜「南3」指導標
奥多摩周遊道路から徒歩道への入口(17KP)
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
奥多摩周遊道路を16.6KP付近まで下ると、ガードパイプの後ろに「数馬方面」「都民の森 奥多摩方面」「数馬バス停」の指導標があり、ここが徒歩道の入口になります。
徒歩道の起点部の様子
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
徒歩道には檜原村の指導標があり、沢には木や短管足場で橋が架けられています。
徒歩道の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
徒歩道の橋
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
数馬橋に向かう分岐路
「南3」指導標
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
奥多摩周遊道路から0.4km程度下ったところに、「都民の森・三頭山」「大平地区・数馬バス停」を示す「南3」の指導標があります。 指導標には示されていませんが、この地点で、奥多摩周遊道路の数馬橋からくる徒歩道と合流します。 地理院地図など資料によっては、この道を都道と表示しているものがあります。
数馬橋西詰の徒歩道の入り口
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
奥多摩周遊道路の数馬橋の西詰である17.3KP付近に、この徒歩道の入り口があります。 この区間は車が1台通れる程度の幅があり、石積擁壁や岩を削って幅員を確保した跡があります。 また、奥多摩周遊道路の道下の法面工事の作業道として使われた形跡もありました。 この道が都道206号線なのか、工事用道路なのかは解りません。
数馬橋〜「南3」指導標間の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
石積みと岩を削った跡
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
「南3」指導標〜料金所跡
「南3」指導標〜旧料金所間の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
「南3」指導標から奥多摩周遊道路の料金所跡までの間は、過去に車が1台通れる幅で整備された痕跡が残る徒歩道です。
コンクリート擁壁
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
コンクリート擁壁などがあり、途中までは電柱も建っていますが、落石が転がっていたり、沢の横断部が削られたりしています。 檜原村の指導標が建っていて、途中に菅平(すがだいら)の滝がありますが、滝に近寄れる道は整備されていません。
落石
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
沢の横断部
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
奥多摩周遊道路料金所跡付近
奥多摩周遊道路の料金所跡
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
奥多摩周遊道路は、平成2年(1990)まで有料道路で両側に料金所が設置されていました。 檜原村側の料金所跡の檜原側に徒歩道の入り口があり、「都民の森・三頭山」を示す指導標が建っています。 なお、料金所を奥多摩側に少し進むと夢の滝があります。
数馬集落への車道(左側)と都民の森への徒歩道(右側)
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
徒歩道の入り口部
写真出典〕当サイト撮影(H30.9)
料金所跡へのアクセス
檜原村側の料金所跡には、数馬集落内を抜ける1車線の檜原街道(都道206号線、都計道外)も接続しています。 檜原街道を1kmほど進むと、西東京バスの数馬バス停があり、1日10本程度の路線バスがJR五日市線の武蔵五日市駅を結んでいます。