都道189号高尾山線は、高尾山薬王院の前から甲州街道に至る延長3kmの一般車は通行止めの都道で、一般には自然研究路の1号路として知られています。
高尾山は多くの観光客が集まる観光地で、高尾山薬王院近くの石畳舗装で路側に灯籠が並ぶ区間は多くのハイカーで賑わっています。
〔目次〕
都道189号高尾山線の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
都道189号高尾山線の概要
東京都通称道路名 | なし |
道路法の路線名 | 都道189号高尾山線 |
都市計画道路名 | 都計道外 |
長距離自然歩道 | 東海自然歩道 |
都道189号高尾山線は、八王子市高尾町の高尾山薬王院の前から、同町の甲州街道の高尾山入口交差点に至る延長3kmの、全線が石畳舗装かコンクリート舗装の都道です。
都道は登山道の自然研究路の1号路と重複していて、高尾山薬王院の参道であることから、石畳舗装や灯籠、門なども設けられていて、多くのハイカーで賑わっています。
甲州街道からケーブルカーの清滝駅付近の0.3km以外は、すれ違い箇所が限られる急勾配の1車線道路で、一般車両は通行禁止、地元関係の通行許可車もハイカーの多い時間帯は通行禁止になっています。
高尾山と登山道の概要
高尾山の概要
高尾山は、『大都市近郊にもかかわらず豊かな自然に溢れている』という理由で平成19年(2007)にミシュランの三ツ星に選ばれた観光地で、年間250万人もの人が訪れています。
京王高尾線高尾山口駅からケーブルカーやリフトで登れる、行きやすく登りやすい山で、山麓には博物館や日帰り温泉が、中腹には高尾山薬王院の他、さる園・野草園やビアガーデン、茶店などの観光施設が整っていて、訪れる人の2/3は山頂まで登っていると言われています 1) 。
高尾山の登山道
高尾山には、1号路から6号路の高尾山自然研究路をはじめとした登山道が整備されていて、ほとんどの登山道は自然公園を所管している部局が管理しています。
自然公園部局以外が管理している登山道としては、自然研究路の1号路と都道189号高尾山線がケーブルカーの清滝駅から高尾山薬王院の前まで重複していて、管理の分担は、権現茶屋の前(右図の仏舎利塔の上の道路の合流点)より下が道路、上が公園になっています。 1号路は延長3.8kmで、山麓の清滝駅前から山頂まで登り1時間40分、下り1時間30分程度です。
また、いろはの森コース(右図の記載外)は林野庁の管理になっています 2) 。
甲州街道 (こうしゅうかいどう) |
清滝駅 (きよたきえき) |
高尾山駅 (たかおさんえき) |
権現茶屋前 (ごんげんちゃや) |
高尾山薬王院前 (やくおういん) |
山頂 | |||||
道路 | 都道189号高尾山線 | --- | ||||||||
公園 | --- | 自然研究路1号路 | ||||||||
管理者 | 道路 | 自然公園 |
都道189号高尾山線の現況
一般車の通行可能区間
高尾山入口交差点 (都道189号線終点、甲州街道交点)
甲州街道からみた高尾山入口交差点(都道189号線終点)
写真出典〕当サイト撮影(H31.3)
都道189号高尾山線の終点は甲州街道(国道20号、都計道外)の高尾山入口交差点です。
甲州街道に経路案内標識などはありませんが、都心側から甲州街道を下ってきたとき、京王高尾線の高尾山口駅の駅前広場の先の高尾山入口交差点を右折すると都道189号線に入ります。
高尾山入口交差点からみた都道189号高尾山線
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
交差点の北に高尾山口駅があり、高尾山口駅とケーブルカーの清滝駅とを結ぶ小路が右側の商店街の後ろに併行しているため、歩行者は都道と小路に分散しています。
一般車通行可能区間の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
終点から約0.2kmの高尾登山電鉄(ケーブルカー)の清滝駅前のもみじ広場までの間は、両側に名物のとろろ蕎麦などを出す飲食店などが20店程度並ぶ表参道で石畳舗装の1車線の道路です。
ケーブルカー清滝駅前
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
清滝駅前からは「高尾山自然研究路」の「1号路」が重複していて、路側に「高尾山薬王院」と「東海自然歩道起点」の石碑が建っています。
なお、甲州街道沿いに数百台規模の駐車場がありますが、観光客に比べると容量が足りていないようです。
ケーブルカー併行区間
一般車の侵入禁止地点
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
高尾登山鉄道の清滝駅前から高尾山駅前までの間は、延長2kmで標高差270mを登るため平均勾配でも14%になる急坂の待避所の少ない1車線道路で、50分程度で歩けます。
清滝駅前から0.1kmの地点に車両通行止めの交通標識が建っていて、一般車両は侵入禁止、緊急車以外の通行許可車でも昼間は通行禁止になっています。
清滝駅付近から少しの区間は石畳の勾配が緩やかな道で、その先は、コンクリート舗装の勾配のきつい道路になり、写真のようなつづら折りもあります。
通行許可車の制限時間になる前は、山上の寺院や商店のものらしいSUVや軽自動車が通行しています。 昼間は多くのハイキング客に利用されています。
ケーブルカー併行区間の概況
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
つづら折りの坂道
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
高尾山駅前〜高尾山薬王院
ケーブルカーの高尾山駅前
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
ケーブルカーの山上側の駅である高尾山駅前から高尾山薬王院の前までの間は、延長0.8kmで標高差40mを登る道です。 途中の男坂、女坂を除けば比較的緩やかな勾配の1車線の道路で、20分程度で歩けます。
高尾山駅からはリフトやケーブルカーで登ってきた人も合流するため、歩行者が急増します。 舗装は石畳となり、路側に灯籠が並び、道路の街灯も一部に設置されています。 高尾山薬王院の浄心門が道路上に設置されています。
杉の巨木たこ杉前の都道189号高尾山線
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
都道189号高尾山線にかかる浄心門
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
道路は、途中で男坂と女坂に分岐します。 男坂は108段の階段です。 男坂と女坂の合流点には仏舎利塔に登る道も接続しています。
男坂(左の階段)と女坂(右の坂道)の分岐点
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
男坂と女坂の合流点
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
都道して管理されているのは男坂と女坂の合流点までで、ここから都道の起点の薬王院までは、都道ではあるものの自然公園の管理になっています。 なお、高尾山薬王院から高尾山頂までは、20分程度の道になります。
男坂と女坂の合流点の高尾山薬王院寄り
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
高尾山薬王院の前
写真出典〕当サイト撮影(H30.7)
都道189号高尾山線の整備史
高尾山信仰は江戸時代初期に町民の間に広まり、八王子宿に泊まり、翌日に高尾山に登る高尾講は江戸町民にとって手軽で好評だったそうです 1) 。
都道189号高尾山線が都道(府道)として供用を開始されたのは、大正12年(1923)4月1日(東京府告示第304号 浅川停車場高尾山線 供用開始)です 2) 。
昭和2年(1927)1月21日には高尾山ケーブルカーが開業し、同じ昭和2年に高尾駅の手前に多くの参拝者を集めた大正天皇の多摩御陵(たまごりょう)が造営されると、多くの人が訪れるようになりました 3) 。 昭和5年(1930)には甲州街道に八王子駅から多摩御陵や今の高尾駅を経て高尾山麓に至る路面電車が開通し、昭和42年(1967)には京王高尾線が開通しアクセスが向上しました。
都道189号高尾山線は平成元年度から8年度(1989〜1996)に、ハイキングのメッカにふさわしい道路に再整備をされています 2) 。