不法行為等に講じる措置

 道路管理者は、道路での不法行為などに対応するため、違法放置等物件に対する措置や放置車両等の移動、監督処分、代執行などができます。

違法放置等物件に対する措置

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悪質な不法占用の事例

写真出典〕国土交通省HP

 平成28年(2016)9月30日に道路法が改正されて、道路管理者は道路法第44条の2により車両からの落下物等だけでなく、交通に危険を及ぼす不法に設置された看板などの除去も可能になりました 2)

 道路管理者は、車両からの落下物や不法看板等の違法放置等物件が、道路の構造に損害を及ぼしたり、交通に危険を及ぼしている場合や、そのおそれがある場合で、監督処分を命じられた者が従わないときや、違法放置等物件の占有者等が現場にいないために監督処分を命じられないときは、違法放置物件を自ら除去したり、委任した者に除去させることができます。 違法放置等物件を除去した後の保管や公示等の手続きも定められています道路法 第44条の2

放置車両等の移動

 路上放置車両の処理

 明らかに路上放置車両と確認でき、現に交通に支障を及ぼしているものについては、とりあえずセーフティコーンを置くなど、その車両の存在を他の道路利用者に知らせるための措置が必要です 1) 2)

 路上放置車両の処理の分担は次のようになっています 1) 2)

  • 所有者が確認できたものについては、警察が道路交通法等により処理
  • 所有者が確認できないもので経済的に価値のある車は、警察が遺失物法により処理
  • 経済的に価値が極めて小さく、かつ放棄したと認められる車は、道路管理者が「違法放置等物件に対する措置」で処理

 「交通上の障害となっている路上放置車両の処理方法(平成5年3月30日道路交通管理課長通知)」が定められています 5)

 長時間放置された車両の移動等

 道路の改築や修繕、維持のために緊急やむを得ない必要がある場合、道路に長時間放置された車両を移動することができます道路法 第67条の2

 例えば、除雪の場合には、作業の緊急性から、除雪を行わないと一般交通に著しい支障を及ぼすようなときには、数十分でも長時間放置されている車両として移動することができます 4)

 大規模災害時の車両移動

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ホイールローダーによる車両の移動

写真出典〕国土交通省HP

 大雪や震災などの大規模災害時に立往生車両や放置車両によって道路が閉塞したとき、緊急車両の通行ルートを迅速に確保する必要があります 6)

 このため、道路管理者は、区間を指定して車両の運転者等に対して移動を命令したり、運転者が不在の車両などを移動することができます。 このとき、やむを得ない限度で車両の破損が容認されます災害対策基本法 第76条の6

 「災害対策基本法に基づく車両移動に関する運用の手引き」が定められています。

監督処分等

 監督処分とは

 道路の交通上、構造上、公益上支障となる行為を排除する必要があるときは、まず行政指導が行われ、行政指導では改善しないときには監督処分を行います。

 監督処分が行えるのは、道路区域や道路予定地道路法 第91条沿道区域です。 道路管理者や道路監理員は(1)のような違法や不正がある場合に、道路管理者は(2)のような適法ではあるが公益上の必要がある場合に監督処分が行えます道路法 第71条

(1) 違法や不正の状態を是正するとき

 ○ 道路法や、道路法に基づく命令等に違反した。
  例〕・みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積した(道路における禁止行為
    ・みだりに道路を損傷し、又は汚損した( 〃 )
    ・通行の禁止又は制限に従わなかった(道路の通行禁止や制限
    ・無許可で占用をした(不法占用物件の取扱い
    ・限度超過車両を無許可で通行した(車両制限と特殊車両の通行許可
    ・許可を得ずに道路工事などを行った(承認工事・自費工事
    ・沿道区域における土地等の管理者の損害予防義務を果たさなかった(沿道制限

 ○ この法律等に基づく許可等の条件に違反した。

 ○ 不正な手段によって許可等を受けた。

(2) 適法ではあるが公益上の必要があるとき

 ○ 道路に関する工事のためやむを得ない必要が生じた。
  例〕・道路管理者が道路の新設や改築、修繕に関する工事を行うため、占用物件の移設が生じた。
    ・街路事業や土地区画整理事業の一環として道路工事を行うため、占用物件の移設が生じた。

 ○ 道路の構造又は交通に著しい支障が生じた。
  例〕・通行車両の大型化により、占用物件が安全な状況ではなくなった。

 ○ 道路の管理上の事由以外の事由で公益上やむを得ない必要が生じた。
  例〕・ダムの建設に伴って水没する道路上の電柱の撤去が必要となった。
    ・道路上に鉄道を敷設するため、占用物件の移設が生じた。

 道路管理者が行う監督処分は次のようなもので道路法 第71条、従わないと罰金に処せられます道路法 第104条

  • 許可等の取り消し、効力の停止、条件の変更
  • 工事等の中止の命令
  • 道路にある工作物等の改築、移転、除却の命令
  • 損害予防措置の命令
  • 原状回復の命令

 聴聞や弁明の機会の付与

 監督処分は不利益処分のため、原則として聴聞又は弁明の機会の付与が必要です行政手続法第13条。 国土交通省の機関で聴聞をする際の手続きが公表されています 1)

 公益上、緊急に不利益処分を行う必要がある場合などは聴聞や弁明の機会を付与しないことができます。 例えば、法第44条の2による違法放置等物件に対する措置をとる前段として占有者等に対し必要な措置をとることを命じる場合については、「当該物件の状態を把握できる写真等、公益上の緊急性を疎明するために必要な記録を残しておくこと」とされています 2)

 監督処分の費用負担

 監督処分による損失の補償は原則行われません。

 ただし、承認工事や占用許可を受けた者が「道路の構造又は交通に著しい支障が生じた」ためや、「道路の管理上の事由以外の事由で公益上やむを得ない必要が生じた」ために監督処分を受けたときは補償がされます道路法 第72条

 また、占用許可を受けた者が「道路に関する工事のためやむを得ない必要が生じた」ために監督処分を受けたときは、原則としてその損失は補償されませんが、社会通念上の受忍義務の範囲を超える損失が生じる場合など、補償してもよい場合もあるとされています 1)

 行政代執行

 監督処分を行っても改善されず、下記の要件に該当するときは、行政代執行を行い、その費用を徴収することができます行政代執行法 第2条

  • 他の手段によってその履行を確保することが困難
  • その不履行を放置することが著しく公益に反する

 行政代執行をするときは、相当の期限までに履行されないときは代執行をする旨を予め文書で戒告する必要があります。 それでも履行されないときは、代執行令書で代執行をなすべき時期や執行責任者の氏名、代執行に要する費用の概算による見積額を通知したうえで行うため、相当の時間を要します行政代執行法 第3条。 行政代執行に要した費用は国税徴収法の例により徴収されます

 略式代執行

 監督処分をしようとしても相手方が確知できないときは、道路管理者などが略式代執行(簡易代執行)をすることができます道路法 第71条第3項。 略式代執行を行うときには、あらかじめ行う旨の公告する必要があります。 公告の方法は特に定まっていませんが、庁舎の掲示板への掲示や公報への掲載が考えられます。

 告発・罰則

 道路法の各規定に背いた場合は、懲役や罰金に処せられます道路法 第八章 罰則。 監督処分に従わなかった場合の罰則も定められており、犯罪行為があると認めたときは、任意に収集した証拠を添えて告発をすることになります刑事訴訟法 第239条第2項。 国土交通省では、過積載車両の場合、常習違反者や2倍以上の重量超過を告発しています 1)

不法占用物件の取扱い

 不法占用物件対応の概要

 道路では私権が制限されて私法上の関係が成立しないため、道路を構成する土地を利用する関係はすべて占用になり、道路管理者の占用の許可を受けていないと不法占用になります

 道路パトロールや住民からの通報で不法占用物件が見つかったとき、道路管理者は行政指導を行って、不法占用者自らに撤去させるか、許可が可能な袖看板(突き出し看板)などは占用許可申請をするよう指導しています。 袖看板は、落下事故が起きていることから、積極的に個別指導をすることになっています

 店舗の立て看板は陳列商品などについては、警察や商店会などと連携した行政指導も行われています。 捨て看板のような無価物は、道路清掃の一環として除却して一定期間保管したうえで処分することも行われています。

 違法放置等物件に対する措置

 平成28年(2016)9月30日に道路法が改正されて、道路管理者は交通に危険を及ぼす不法に設置された看板などは違法放置等物件に対する措置として除去することができるようになりました。

 不法占用物件に対する監督処分と代執行

 「違法放置等物件に対する措置」では対応できない不法占用物件は、従前のとおり監督処分を行い、それでも改善されない場合は行政代執行により不法占用物件を自ら除却する方法が取られます。 不法占用者が不明の場合は略式代執行が行われます。

 屋外広告物条例による簡易除却

 屋外広告物法に簡易除却といわれる、違法に掲出されたはり紙、はり札等、広告旗、立看板等を行政が除却できる制度があり、この権限の委任を受けて立看板等を除却することが行われています屋外広告物法 第7条第4項

 屋外広告物条例には広告物の表示等を禁止する区域や物件を定めることができ、違反した広告物については、道路法の監督処分と同様に、都道府県知事等が除却等の必要な措置を命ずることができる規定があるほか(第7条第1項)、次のような制度が設けられています屋外広告物法 第7条

  • 相手方が確知できない場合の略式の手続(第7条第2項)
  • 代執行要件の明確化(第7条第3項)
    (代執行の要件が、行政代執行法より簡略化されている)
  • 簡易除却(第7条第4項)

 簡易除却の制度により、都道府県知事や委任を受けた者は、違法に掲出されたはり紙、はり札等、広告旗、立看板等を除却できます。 国道(指定区間内)などでは、この委任を受けて簡易除却により立看板等の除却することも行われています 5)

 その他の対応

 他の法令で道路占用についての定めがある場合があります(例えば放送法第145条、第174条

 訴訟手続等により、不法占用期間にかかる占用料相当額を請求する不当利得返還請求や、不法占用者に対して罰則が適用されるよう告発をするという方法もあります。 里道上の不法占用物件については「公共団体ノ管理スル公共用土地物件ノ使用ニ関スル法律(大正3年法律第37号)」が適用されます。