都道205号水根本宿線に併行して、福祉モノレール猿江線が通っています。 福祉モノレールは檜原村が尾根道沿いの自動車が入れる道路がない家の交通を確保するために整備したものです。
〔目次〕
猿江分岐付近の檜原村福祉モノレールとの交差
写真出典〕当サイト撮影(H30.8)
単軌条運搬機(モノレール)
モノレール車両
写真出典〕東京市町村自治調査会HP
https://www.tama-100.or.jp/cmsfiles/contents/0000000/590/hitomono2016-all.pdf
単軌条運搬機(モノレール)は、みかんなどの運搬のために昭和41年(1966)から販売され、和歌山県の急傾斜園地では1970年〜80年ごろにかけて集中的に整備されました。
昭和60年代前半までには乗用型のモノレールが開発され、林業現場への通勤や木材運搬、山間地や急傾斜地の工事現場への通勤や資材搬入にも使われています。
モノレールは先頭にエンジンを搭載している「動力車」とその後部に「乗用台車」や「荷物台車」を連結して使用します 1) 。
檜原村独自の交通施策
デマンドバス旧藤倉小跡バス停
写真出典〕当サイト撮影(H30.8)
檜原村では自動車が通れる道路が整備されるまでは、現在はハイキングコースになっている浅間尾根を中心とする尾根道がメインストリートでした。 川沿いに道路が整備されたことにより、尾根道沿いに住んでいた多くの住民は道路沿いに移転しましたが、移転せずに車が入れない尾根沿いに住み続けている住民もある程度います。
檜原村では、路線バスが運行している都道までは距離のある谷筋に張り付いている集落を対象に、3路線のデマンドバスが運行されています。 デマンドバスの平成25年度(2013)の事業経費は約1,400万円で運賃収入は約60万円でした。
都道205号線(水根本宿線)では、路線バスの藤倉バス停から自動車が入れる旧藤倉小前まで、デマンドバスが運行されています。
尾根道沿いの住宅には自動車の入れる道路がないため、住宅まで道幅1m程度の道を整備する費用を村が補助し、動力付きの手押し車で生活物資を自宅まで運んだり、オートバイで郵便配達ができるようになっていました 2) 。
檜原村福祉モノレール
檜原村福祉モノレール路線図
図表出典〕東京市町村自治調査会HP
https://www.tama-100.or.jp/cmsfiles/contents/0000000/590/hitomono2016-all.pdf
檜原村では、自動車が入れる道路がない家の交通を確保するため、平成15〜16年度(2003〜2004)に5路線の福祉モノレールを整備しました。
整備費は約9千万円で、乗車毎に協力金を100〜300円徴収して燃料費などにあてています。
福祉モノレールは動力車+3名が乗れる乗用台車+荷物台車の編成で、アクセルとブレーキのレバー操作で運転します。 時速2〜3kmで走行するため、健康であれば歩いた方が早く着きます 1) 2) 。
福祉モノレール猿江線
都道205号線(水根本宿線)の檜原村側の車道終端から猿江集落への道の分岐点まで、福祉モノレール猿江線が併行しています。 猿江線は、藤倉小学校跡から猿江集落までの延長2,416mで、日常的に福祉モノレールを利用している住民は7人だそうです 3) 。
藤倉小学校跡付近のモノレール乗り場
写真出典〕当サイト撮影(H30.8)
猿江分岐付近の檜原村福祉モノレールとの交差
写真出典〕当サイト撮影(H30.8)
重要文化財小林家住宅とモノレール
小林家住宅へのアクセス
図表出典〕檜原村観光協会HP(リンク切れ)
檜原村が、18世紀前半に陣馬尾根の東斜面に立てられ、現在は重要文化財になっている小林家住宅を公開しています。 小林家住宅は、尾根筋を歩いて交通していた時代に尾根道が交わる交通の要所に建てられた山岳民家です 4) 。
5路線の福祉モノレールは対象住民か対象住民に用がある人しか使えませんが、重要文化財小林家住宅へは、8人乗りのより大型のモノレールが設置されていて、予約をして乗ることができます。
また、徳島県三好市の奥祖谷観光周遊モノレールや、奈良県天川村の洞川財産区モノレールなどは、観光用で一般の人も乗車できます 1) 。
小林家住宅
写真出典〕檜原村HP(リンク切れ)
1) 移動手段としての単軌条運搬機(モノレール)の検討(西川一弘、辻本勝久、経済理論 368, 1-24, 2012-07、和歌山大学)
2) 高齢社会における「ヒト」と「モノ」の移動に関する調査研究報告書(東京市町村自治調査会)
3) 檜原村路線バス検討委員会検討結果報告書(平成19年1月、東京都檜原村)
4) 重要文化財小林家住宅(鈴木 誠、建築史学、2014年、63巻、158-172)